ノー・コントロール
フランスの「へそ」に例えられる、マシフ・サントラル(中央山塊)に囲まれた中南部の都市クレルモン・フェラン。そこから北に 15 km ほど上ったところに、ミネラルウォーターで有名なヴォルヴィック村がある。その村の麓にノー・コントロールの畑があり、ドメーヌはさらに北東へ 10 km ど向かった小さな町ル・シェー(Le Cheix)の外れにある。畑の総面積は 5 ha で、標高 400〜500 m の東から南向きの丘陵地に点在する。AOC は 2011 年に新しく昇格したコート・ドーヴェルニュ(Cotes dʼAuvergne )だが、ワインのタイプや SO2 の量などがアペラシオンの規定に沿わないため、全て VdF として仕込んでいる。火山群によって堆積した土壌は、主に花崗岩質と玄武岩質で構成され、香り高く果実味がチャーミングで軽快なワインを生み出す。気候は大陸性気候と山岳気候の両方の影響を受ける。冬は寒く乾燥していて、夏は日差しが強いが、標高が高いおかげで猛暑になりにくい。また、マシフ・サントラルの山々が大⻄洋から来る雨雲を遮ってくれるため、1 年を通して雨の影響が少ないのも特徴。
オーナーのヴァンサン・マリーは、ノルマンディーのカーン出身で、ワイナリーの家系ではなく、またオーヴェルニュとは全く無縁だが、畑の価格条件が良く、ピノノワール、シャルドネ、古樹のガメイ・ド・オーヴェルニュといった魅力的な品種があること、またあこがれのラ・ボエムやピエール・ボージェのワイン産地であることから、この地を選びドメーヌをはじめている。彼が最初にヴァンナチュールを知るきっかけとなったのは大学時代、スポーツ経営学を学ぶ傍ら、個人的な趣味で 2001 年からワインスクールに通い始めた時のことだった。偶然門を叩いたワインスクールが、たまたまヴァンナチュールに特化した授業カリキュラムだったという全くの偶然を機に、彼はどんどんヴァンナチュールの虜になっていく。2004 年に大学を卒業し、大手スポーツ用品の会社に就職をするも、ワインスクールは継続して通い続けた。そして、2005年彼はワイン仲間を募ってカーンで小さなワインサロンを立ち上げた。このワインサロンは 2008 年まで続け、ここでたくさんのヴァンナチュール生産者と直接知り合うきっかけをつかんだ。当時彼はスポーツ用品の営業マンだったが、次第にワインづくりに興味を持ち始める。2008 年、アルザスの本社に転勤になり、スポーツ用品の Web マーケティングを担当する。この時期彼は、より深くヴァンナチュールを学ぶために、余暇のほとんどを生産者訪問に費やした。そして、ついに 2012 年、ワイン生産者になる決意を固め、8 年間働いた会社を退職した。会社を辞めてすぐに半年間ジェラール・シュレールで研修を行い、さらに半年間ジュリアン・メイエーでの研修を経て、2013 年、オーヴェルニュで 2 ha ブドウ畑を所有し、ノー・コントロ ールを立ち上げる。
ヴァンサン・マリーは 2015 年現在 5 ha の畑を一人で管理している。(忙しい時は家族が手伝う)。彼の所有するブドウ品種は、ガメイ、ピノノワール、シラー、シャルドネの 4 種類で、樹齢は 12 年の若木から 110年の古樹まで幅が広い。また、彼自身、アルザスやロワールにゆかりがあることから、近い将来、シルヴァネールやピノオークセロワ、リースリング、ソーヴィニョンブラン、シュナンなど植樹する予定でいる。彼のモットーは「自由な発想で、極上のヴァン・ヴィヴァンをつくる︕」ことで、基本 SO2 無添加、ノンフィルターだが、そこも決して型にとらわれずに、生き生きとして、美味しさが弾けるようなワインを目指している。趣味は、トレイルランニングとサイクリング。サイクリングに関しては、かつてフランス代表候補に選ばれたり、プロサイクリストとしてスカウトされるほどの実力を持つ。
フュージョン(赤)
ガメイ・ド・ボジョレー50%、ガメイ・ド・オーヴェルニュ50%。収穫日は9月15日とブドウが早熟だった!収量は日照りにより30 hL/haと減収だった!ワイン名は、灰色泥灰土の若木の畑と玄武岩の古樹の畑のブドウの融和(Fusion)を表したのと同時に彼自身がフュージョンロックが好きということもあってこの名前が付けられた!SO2無添加、ノンフィルター!
色合いは透明感のある深いルビー色。グロゼイユ、海苔の香り。ワインは明るくふくよかかつピュアな果実味にストラクチャーがあり、チャーミングな酸、塩気のあるミネラル、キメの細かいタンニンが余韻にはっきりとした輪郭を与える!(インポーターさん資料から抜粋)