ラ・ヴィーニュ・デュ・ペロン
リヨンから北東に1時間ほど行ったところにあるサヴォワ地方で、1年のブランクを空けて、フランソワ・グリナン氏がワイン作りを再会しました。(この再出発にあたって、ベルギー人の2人のナチュラルワイン愛好家が共同経営者として参加しています。)
4種類のワインのうち、ルーセットとピノ・ノワールは、ヴィル・ボワ村にある自社畑のものです。 ガメイとシャルドネは、有機栽培されたぶどうを買っていますが、4つ全てを合計しても2.1Haと極めて少ない生産量です。
ナチュラルワインを造り始める前は、ピアニストだったグリナン氏。古くて小さな醸造所をきちんと改装しているあたりは、氏の人柄が表れています。勿論ワイン作りもとても丹念です。
ヴィル・ボワ村は山間部へと続く渓谷にあるため、ぶどう畑は標高約250mの斜面に点在します。この地は夏でも夜間は冷涼な風が吹くため、ワインにフレッシュ感が生まれます。ピノ・ノワールが植わる「レ・ゼタップ」の区画は、コート・ロティの畑のように歩くのでさえ大変な急斜面。畑の周りは季節の草花が、絨毯のようにさまざまな色の花を咲かせています。
醸造面では培養酵母や酵素は使わず、補糖や清澄、濾過もしません。現代では当然となった醸造技術や人的介入を控えたワイン造りをするには、有機栽培で育てた健全なぶどうが必要です。例えば合成化学物質の農薬を使ったぶどうには野生酵母が少ないため、酵母添加しなければ発酵が安定しない場合があります。有機栽培のぶどうは野生酵母の数が多く活力があるため、作柄が不安定な年でも問題なく発酵が進んでくれるようです。
また、亜硫酸を使わずに発酵から熟成まで進めますが、できる限り空気と接触させずに造る必要があるため、ワインが還元状態に陥る可能性が上がります。その可能性を下げるためには、ぶどうが育つ段階から考えなければなりません。堆肥が多すぎると地中の窒素量が増えて還元しやすくなりますし、反対に少なすぎると発酵の妨げになってしまうようです。
AOC法では2009年から「AOC Vin de Bugey」を名乗れますが、それを用いずVDTにすることに決めました。
カタリナ(白)
シャルドネ。ダイレクトプレス。228Lの樽で20ヶ月発酵と熟成。
濃い黄色。文旦や晩柑、八朔、レモンなどの柑橘の爽やかな果実香に、黄色や白の花々のふっくらとした優しい香り、メレンゲ菓子、火打石のニュアンスが伺えます。ピリピリと微細なガスのクリスプ感が感じられ溌剌とした印象で、優しい甘みが舌先を包み込みながら、凛としたシャープな酸が全体を引き締め、舌の上を滑るように流れていきます。柑橘をギュッと搾ったような溌剌とした果実の風味に、円みのある柔らかいフローラル系の香りや蜂蜜の風味のコク深さやほどよいリッチ感が調和し、口中へと広がります。開いていくにつれて、黄プラムや桃、黄柑橘のピール菓子の甘やかさ、柑橘の内皮を想わせる旨みを伴うほろ苦い風味が重なり、膨らみのあるフルーティーな果実味や抑揚、奥行き感じられる辛口の仕上がりです。(インポーターさん資料から抜粋)