ドメーヌ・モス
ロワール地方の西、メーヌ川河畔の古城の街アンジェから南西へ20kmほど下ると、レイヨン川に沿ってうねる丘陵が霞を伴い幻想的な光景を作り出す。レイヨン川を横ぎり、さらに2kmほど南に下るとサン・ランベール・デュ・ラティ村が見えてくる。ドメーヌ・モスのカーブはその村の入り口に位置する。16haあるブドウ畑は区画ごとに点在するが、全てカーブから周囲1km範囲内にあり、1年を通して寒暖差の少ない西岸海洋性気候や強い北風が霜や病気からブドウを守る。さらに、シュナンなど耐性の強い晩熟ブドウは、晩夏から秋にかけてレイヨン川から立ち上る霧によって、上質なボトリティスが形成される。
現オーナーであるルネ・モスと妻のアニエスは、1987年からトゥール市内でバーを兼ねたワインショップを営んでいた。当時、取引先であったワイン生産者フランソワ・シデーヌやジョー・ピトンに大きく影響を受けた彼らは、1993年ワインショップを閉め、ワインをつくる世界に転身を図る。1994年、彼らはアンボワーズにある栽培醸造の職業訓練学校に通いワインづくりの基礎を学ぶ。(この時、彼らに教えた先生がティエリ・ピュズラとクリスチャン・ショサールだった。)1995年学校を卒業したルネは、ポワティエから30km北東に上ったボセイ・シュール・クレーズという小さな村にあるワイナリーに入り、翌年には初めてのワインを仕込む。当時、最も懇意にしてくれた村近くでレストランを経営するジャッキー・ダレス氏の協力や紹介もあって、ルネは1997年研修の場をブルゴーニュに移す。ブルゴーニュに移った彼は、ドメーヌ・テヴノやフランソワ・ミクルスキ、ドミニク・ドゥラン、フレデリック・コサール等に出会い精力的にワインを学ぶ。1999年ジョー・ピトンが奨めてくれたサン・ランベール・デュ・ラティ村にあるドメーヌを引き取り、妻のアニエスと2人でドメーヌ・モスを立ち上げる。その後、チリやバニュルスのブルーノ・デュシェン修業をしていたジョゼフとブルゴーニュのシャソルネイやパリのシャトーブリアンで修業をしていたシルヴェストルが2013年戻り、一緒にドメーヌを手伝う。2014年、ルネが病に倒れたのをきっかけに、息子2人がメインでドメーヌの管理を行う。
現在、アニエス&ルネは16haの畑を息子2人と従業員2人の6人で管理している。(繁忙期は季節労働者が数人手伝う。)彼の所有するブドウ品種は、シュナン、カベルネソービニヨン、カベルネフラン、グロロ、ガメイで、樹齢は15~75年。「美味しいワインは完熟したきれいなブドウを収穫することから始まる!」をモットーにワインづくりに励む彼らは、多様な微生物が繁殖する生きた土壌作りに余念がない。特に畑を深く耕すことに重点を置き、その他には農薬を使用せず抗体の強い完璧なブドウを手に入れる方法としてビオディナミを取り入れている。
ラ・ジュット(白)
2020 年はブドウが早熟の年で例年よりも 2 週間ほど収穫が早かった。前回はシャルドネとシュナンの比率が半々だったが、今回はシャルドネがオイディオムの被害により減収だったためアッサンブラージュ比率は 80:20と前回よりもシャルドネが少ない。当初は去年の 3 月にリリースする予定だったが、オイルのような糸引きがあったため日本の倉庫で 1 年寝かせ、糸引きが落ち着いたタイミングを見計らい今回のリリースに至った。出来上がったワインは、アルコール度数 12.5%とは思えないほど果実味がリッチで、縦に伸びる骨太なミネラルと横に広がるふくよかな果実味の一体感はブルゴーニュのシャサーニュ・モンラッシェを彷彿させる!ちなみに、この年はブドウがきれいだったので SO2 無添加で仕込んでいる!
シュナンブラン80%、シャルドネ20%。収穫日は9月5日と例年よりも2週間早い!収量は30hL/ha。ワイン名は区画の名前で、ル・ルシュフェールとル・シャン・ブコーの間にある!La Jouteには中世の騎馬槍試合の意味があり、シュナンとシャルドネを二人の騎士に例えお互い50:50の同戦力でぶつかり合うイメージも同時に重ねている!残糖は1.8g/L。SO2無添加!ノンフィルター!
色合いは透明感のあるイエロー。黄桃、パイナップル、アカシア、ハチミツの香り。ワインはフルーティーで、横に広がるまったりとしたエキスに塩気のある凝縮した旨味、筋肉質なミネラルが溶け込み上品な骨格を形成する!(インポーターさん資料から抜粋)