アンドレ・ロジェ
シャンパーニュの歴史に燦然と輝く、3大グランクリュの中でも別格の存在、アイ。しかしだからこそこの村は、評判に胡坐をかき革新の気運には程遠いメンタリティーが蔓延していました。ほとんどの畑は大手メゾンに高値で売却済みですし、「ラベルにアイと入っていれば、中身は100%アイ産でなくてもバカ売れ。アイのぶどうだけでキュヴェを造るのは、もったいない」という考えが多勢を占めていました。
しかしついにこの村にも、強烈な光を放つ2つの新星が誕生しました。ジャン・ポル・ロジェとフロール・ドビです。
ジャン・ポル・ロジェは、先祖が守り抜いた古樹畑で長年リュット・レゾネ栽培に精魂込め、ぶどうの多くをボランジェに販売しながら一部を自社ビン詰めし、愛好家やソムリエの意見に真摯に耳を傾けながら確実に品質を向上させてきました。やがて気づいてみたら到達していた別次元の品質。もちろん100%アイのグランクリュ・キュヴェです。そして、味、造り手の確固たる自信、市場環境が三位一体となった2006年、いよいよ一般市場へのリリースが開始されました。
栽培とシャンパン造りに本気で打ち込む時、やはりアイというのは究極のテロワールなのだということを思い知らせてくれる、極上の味わいです。
ブリュット ブラン・ド・ブラン ニュアンス
現地試飲で惚れ込んだシャルドネ100%のシャンパーニュ、“ニュアンス”です。シャルドネらしく繊細ですが、ふところが深く、奥ゆかしい味わいは感動ものです。
シャルドネ100%。半分がグランクリュ・アイ(平均樹齢35年)、半分がプルミエクリュのマルイユ・シュル・アイ(平均樹齢25年)。30%を228リットルの小樽で発酵・熟成。ドザージュは8g/l。キュヴェ名の「ニュアンス」(微妙な差異)は、「アイから隣のマルイユ・シュル・アイにかけてのぶどう畑は、ほとんどがピノノワールですが、少しだけ、モザイク状にシャルドネが植えられている」ことから命名されました。その希少なシャルドネを丁寧に紡いで誕生した、珍しい作品です。古来より、アイが「シャンパーニュの王者」と言われるのはその特別な白亜石灰質土壌ゆえ。そこでブラン・ド・ブランを造ったら・・・