ニコル・ラマルシュ
ヴォーヌ・ロマネの名門として知られる、このドメーヌは20世紀の初頭、 樽職人のアンリ・ラマルシュがシャンボール・ミュジニー出身のマリー・グリヴレと結婚して創設。その息子もアンリといい、ドメーヌを継承して1933年に結婚した。この時にラ・グランド・リューがドメーヌにもたらされる。
先代のフランソワが、父アンリの後を継いだのは1985年。ラ・ターシュとロマネ・コンティに挟まれながら、AOC法制定時には1級畑だったラ・グランド・リュー。 このクリマを特級畑に昇格させようとINAOに働きかけ、1989年に大願成就。1992年から正式に特級畑への昇格が決定した。
現在ドメーヌを支えているのが、つくりを担当する長女のニコル・ラマルシュと、 販売を担当するニコルの従姉妹ナタリー・ラマルシュの女性二人だ。ニコルは2003年にドメーヌ入り。父の手を借りず初めてひとりでワインを造ったのは2006年である。彼女はまず、ブドウ畑の改革を進め、ビオロジック農法を実践。2010年には11.23haの畑すべてがビオロジックで栽培されるようになった。 以前は機械収穫もしていたが、現在は100%手摘みであり、畑と醸造所の2回にわたって選果をしている。
造りを見ると、除梗はヴィンテージに応じて決め、除梗の場合でも無破砕。以前よりも低温マセレーションの期間を長くし、 発酵中の醸しはピジャージュよりも優しいルモンタージュが主だという。
16〜20ヶ月の樽熟成において、新樽率は村名40%、1級60%、特級80〜85%である。 2006年以降のラマルシュのワインで変わった点といえば、フランス人が好んで使うプレシジオン=正確さ、精緻さであろう。
2013年のフランソワの死以降も、ドメーヌの名に父の名を残してきたが、2018年ヴィンテージより自らの名を冠したドメーヌ・ニコル・ラマルシュとしてリリースを始める。
クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ
ラマルシュ家はクロ・ド・ヴージョ城の真下という絶好の位置に区画を所有する。上品さではエシェゾーやグラン・ゼシェゾーにわずかに及ばないクロ・ド・ヴージョだが、立地条件の良さから特級にふさわしいワインが生み出される。しっかりしたグリップがあり、余韻も長い。