ドメーヌ・ラ・ボエム
フランス中南部、平野の真ん中に盛り上がったマシフ・サントラル(中央山塊)と呼ばれる一帯。クレルモン・フェランを東に40kmほど向かった緩やかな丘陵地が続くところにドメーヌ・ラ・ボエムがある。火山群と火山によってできた独特の痩せた土壌はブドウ栽培に適してはいるが、雨量が少なく、暑い夏と寒い冬と気温の差が激しい内陸性気候の影響をまともに受ける気候条件を加味するとやはりブドウにとって厳しい土地には変わりがない。オーヴェルニュとは「田舎」を指すフランス語で、19世紀までおよそ外部の人間が足を踏み入れることがなかったといわれるほどだ。ヴォルヴィックやヴィッテルなどのミネラルウォーターの湧水地としても有名。カンタル等AOCチーズも数多い。
かつてのパトリック・ブージュは、ワインの世界はアマチュアで、休日にワイン・ショップや極たまにワイナリーの訪問をするくらいの関心しかなく、自らワインを作ることなど考えも及ばなかったそうだ。その彼が人生を大きく方向転換するきっかけとなったのが、たまたまパトリックの当時付き合っていた彼女に紹介されたピエール・ボージェとの出会いで、以降、ピエール・ボージェのガイドの下、自然派ワインの世界にどっぷり足を埋めることとなる。普段はIBM でコンピューター技師の仕事を持つ彼は、一方で、自ら20アールの畑を借り、片手間だが週末と休日を利用して自分のワイン作りを開始した。分からないことは、常にピエール・ボージェからアドバイスをもらいながら、6年間は経験を積みつつ、表向きにはなりを潜めていた。それが2002年までの話。2003年に彼はワイナリーとして独立することを決意した後は、IBM でバイオの研究システムをつくる優秀なプログラマーだった地位を捨て、午前中だけ仕事をする契約社員に格下げするよう願いを出し、以降、1.5 haの畑を買い、教会の敷地内にある昔のカーヴを借りて2004年に正式にドメーヌ・ラ・ボエムをスタートさせる。
現在はオーナーであるパトリック・ブージュが1人で1.5haの畑を管理している。彼の所有する品種は、赤のガメイ・ド・オーヴェルニュの1品種のみで、樹齢平均は60~100年である。ナチュラルな赤ワインを仕上げることももちろんだが、当時から彼は、赤を作るのと同じくらいペティアンを作ることに興味があり、修業時代は「納得のいくペティアンナチュレルを作るまで、独立はしない!」と5年間は試行錯誤を繰り返していたという。畑もビオロジックの農法こだわり、除草剤、殺虫剤を一切撒かない。ブドウの収穫量も、毎年シャプタリゼーションの必要のない糖度の乗ったブドウを作るために、30hL平均に収める。(力みすぎたのか!?2005 年はブドウを落としすぎて収穫量が17hL!)
ニグロ(赤)
2022 年のリリースが最後となる Niglo!パトリックの所有する 2ha の畑は南ボジョレーの Sarcey というリヨン近郊の村にあり、ビオディナミとトラクターを入れず馬による耕作を徹底していた。だが、オーヴェルニュから毎年畑の管理のため何度も往復するのは体力的に辛いという理由から、今年、畑を管理してもらっていた友人のラファエル・ベイソンに全て売却した。2022 年は、日照りと水不足によりブドウは極度のストレスにさらされていたが、夏の猛暑の中でも昼夜の気温に寒暖の差があったおかげで、ブドウの成熟にブレーキがかかることはなかった。
出来上がったワインは、さすがヴィエーユ・ヴィーニュのガメイだけあり、フレッシュでまろやかな果実味の中に控えめながら構成のはっきりとしたミネラルと酸を感じる!プリムール的な位置づけのキュヴェだが、実際に長熟に耐え得るポテンシャルがあり、少し寝かせてみても面白そうなワインだ!!
ガメイ(ボジョレー)。収穫日は8月31日とブドウが早熟だった!収量は日照りにより25 hL/ha!ドメーヌのプリムールというコンセプトでつくられたワイン!南Sarcey(サルセイ)の自社畑を2023 年に売却したため、2022年がNigloのラストヴィンテージ!SO2無添加!ノンフィルター!
色合いは若干濁りのある深いルビー色。グロゼイユ、グリオット、スミレ、青海苔の香り。ワインはフレッシュで柔らかくジューシーな果実味が染み入るように優しく、弾けるように軽快な酸、洗練されたミネラル、優しいタンニンの余韻を優しく引き締める!(インポーターさん資料から抜粋)