アンリ・ショーヴェ
この造り手に辿り着くまでに5年かかりました。
数百軒のRMを訪問する中で分かっていたのは、シャンパーニュで腕自慢の造り手が最も密集している地域は、コート・デ・ブラン最南部のプルミエクリュの村々一帯(シャルドネ)と、モンターニュ・ド・ランス真北部から西側の丘陵地帯(小モンターニュ・ド・ランス)にかけてのプルミエクリュ中心の村々一帯(ピノ・ノワールとピノ・ムニエ)であること。「グランクリュの名前に胡坐をかいている奴らには絶対負けないぞ」という職人のプライドが、あまりのうまさに絶句してしまうような衝撃の作品群を生み出します。
しかしながら、RMの醍醐味を”個性”に求める時、後者地域の生産者は3品種をブレンドする習慣が根強く、ブラン・ド・ノワールをことごとくプレステージ・キュヴェにしてしまうという問題があります。「あるはずのものが、ない」という葛藤からようやく解放してくれたのが、リリー・ラ・モンターニュの名手ダミアン・ショーヴェでした。
「特定のキュヴェ・プレスティージュ”だけ”が美味しいなど、あってはならない。ここはピノノワールとピノムニエの名産地。これこそを、スタンダード・キュヴェにしなければならない」。同地域は北向き斜面が多く日照量が多すぎないために、ピノ特有のコクのあるうまみと、美しい酸がそれぞれ高い次元で両立できる、類稀な産地です。
「魚介類ももちろん良いが、むしろ肉料理に合わせていただきたい」という”職人”ショーヴェ入魂の作品群、ぜひご堪能下さい。
ブリュット ブラン・ド・ノワール
ピノノワール90%、ピノムニエ10%のブラン・ド・ノワール。畑はモンターニュ・ド・ランス真北部のリリー・ラ・モンターニュに半分、西部の”小モンターニュ・ド・ランス”の主要村サヴィニー・シュル・アルドルに50%。平均樹齢25年。2年間以上瓶熟成。ドザージュは8g/l。